【体にできるヘルペスの種類】合併症や注意点とは？

この記事では、体にできるヘルペスの種類、その原因や感染経路、症状について解説します。ヘルペスウイルスに関する実践的な情報を提供し、予防や管理に役立つ記事として活用ください。

そもそも、ヘルペス感染症とは

ヘルペス感染症は、ヒトヘルペスウイルス（Herpesviridae）と呼ばれるウイルスファミリーによって引き起こされる感染症の総称です。このウイルスファミリーには、HSV-1、HSV-2、VZV、EBV、CMVなど、さまざまなウイルスが含まれています。

ヒトヘルペスウイルスはDNAウイルスであり、感染した人から他の人への直接接触や性的接触によって広がることが一般的です。感染が起こると、ウイルスは神経組織に潜伏し、再活性化することで再発症状が現れることがあります。

HSV-1とHSV-2は口唇ヘルペスや性器ヘルペスの主な原因です。VZVは水痘（水疱瘡）と帯状疱疹を引き起こし、EBVは伝染性単核球症や一部の癌と関連しています。CMVは通常は免疫機能が低下した人々に影響を与えます。

ヘルペス感染症の症状や治療法は、それぞれのウイルスによって異なるため、正確な診断と適切な治療が重要です。

ヘルペスの代表的な種類

HSV-1（ヒトヘルペスウイルス1型）

HSV-1（ヒトヘルペスウイルス1型）は、一般的には口唇ヘルペス（単純ヘルペス1）の主な原因となるウイルスです。

感染経路

HSV-1は、感染者の唾液や口腔の表面との接触によって広がります。一般的な感染経路は、感染者とのキスや口から口への接触です。また、感染者の食器や個人用品の共有も感染のリスクを増加させる可能性があります。

症状

HSV-1感染の初期症状には、以下が含まれることがあります。

・発疹や水疱（水ぶくれ）の形成
・口や唇の痛み
・発熱
・咽頭痛やリンパ節の腫れ

再発の特徴

HSV-1感染が再発する場合、再発の症状は通常初感染時よりも軽度です。再発の兆候としては、口唇に発疹や水疱が現れることがあります。再発はストレス、日光曝露、免疫機能の低下などのトリガーによって引き起こされることがあります。

予防策

HSV-1感染を予防するためには、以下の予防策を実践することが重要です。

・感染者との密接な接触を避ける
・感染者とのキスや口から口への接触を避ける
・個人用品の共有を避ける
・免疫力を強化する（バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠など）

HSV-2（ヒトヘルペスウイルス2型）

HSV-2（ヒトヘルペスウイルス2型）は、一般的には性器ヘルペス（単純ヘルペス2）の主な原因となるウイルスです。

感染経路

HSV-2は、性行為や性器部位の接触によって広がります。感染リスクは、感染者との直接的な性的接触によって増加します。感染者が無症状の場合でも感染を広げることがあります。

症状

HSV-2感染の初期症状には、以下が含まれることがあります。

・性器や周辺の発疹や水疱（水ぶくれ）の形成
・かゆみや痛み
・排尿時の痛み
・発熱や全身的な不快感

再発の特徴

HSV-2感染が再発する場合、再発の症状は初感染時よりも軽度です。再発時には、性器や周辺に発疹や水疱が再び現れることがあります。再発はストレス、月経周期、免疫機能の低下などの要因によって引き起こされることがあります。

予防策

HSV-2感染を予防するためには、以下の予防策を実践することが重要です。

・セクシュアルパートナーとの安全な性行為の実践（コンドームの適切な使用）
・パートナーの感染リスクや感染歴を確認する
・性的な活動を制限する（パートナーの数を制限するなど）

帯状疱疹（ヘルペス・ゾスター・ウイルス）

帯状疱疹（ヘルペス・ゾスター・ウイルス）は、水痘（水疱瘡）のウイルスである水痘帯状疱疹ウイルス（VZV）の再活性化によって引き起こされる感染症です。

感染経路

帯状疱疹は、水痘に感染した経験のある人が再活性化したウイルスに再び感染することで起こります。水痘帯状疱疹ウイルスは、再活性化後に感染者の皮膚や粘膜から広がり、帯状に症状が現れます。帯状疱疹は直接感染はしませんが、水痘にかかったことがない人が帯状疱疹患者と接触した場合、水痘に感染するリスクがあります。

症状

帯状疱疹の主な症状は、以下の通りです。

・帯状に発疹や水疱（水ぶくれ）が現れる
・発疹や水疱が赤く腫れたり痛んだりする
・痛みやかゆみがある
・発疹が一定の範囲に限定される（一般的には胸や腰の周りに現れます）

予防策

帯状疱疹の予防策としては、以下の予防接種が推奨されています。

水痘（水疱瘡）ワクチン: 水痘に感染したことがない人は、水痘ワクチンを接種することで水痘自体のリスクを軽減し、帯状疱疹の発症リスクを低減させることができます。

HSV-4（ヒトヘルペスウイルス4型）

HSV-4（ヒトヘルペスウイルス4型）は、エプスタイン・バーウイルス（EBV）としても知られるウイルスです。

感染経路

HSV-4（EBV）は、唾液を介して感染が広がります。感染は、感染者との密接な接触や唾液の共有、キスなどによって起こります。また、感染者の咳やくしゃみによっても広がることがあります。

症状

HSV-4（EBV）感染の初期症状には、以下が含まれることがあります。

・疲労感や倦怠感
・発熱
・喉の痛みや腫れ
・リンパ節の腫れ（特に首や頸部）

伝染性単核球症

HSV-4（EBV）感染は、一部の人に伝染性単核球症（キス病）として知られる病気を引き起こすことがあります。伝染性単核球症の症状には、発熱、喉の痛み、倦怠感、腫れたリンパ節、肝臓や脾臓の腫れなどが含まれます。

治療

HSV-4（EBV）感染に対する特定の治療法は存在しません。一般的には、休養と症状の緩和が主な治療目標です。疼痛や発熱の管理、水分補給、免疫力のサポートが行われる場合があります。

予防策

HSV-4（EBV）感染の予防策としては、以下の点に注意することが重要です。

・感染者との密接な接触を避ける
・感染者との唾液の共有を避ける
・適切な手洗いや咳エチケットを実践する

HSV-5（ヒトヘルペスウイルス5型）

HSV-5（ヒトヘルペスウイルス5型）は、ヒトサイトメガロウイルス（CMV）としても知られるウイルスです。おっしゃる通り、HSV-5として言及されることもありますが、一般的にはCMVと呼ばれることが一般的です。

感染経路

HSV-5（CMV）は、体液や分泌物、接触などを介して感染が広がります。感染は、感染者からの直接的な接触（唾液や性行為）や感染物質（血液や尿）との接触によって起こります。また、感染者の妊婦から胎児への垂直感染もあります。

症状

HSV-5（CMV）感染は、通常は免疫機能の低下した人々に重篤な影響を与えます。健康な人々では、感染は無症状または軽度の症状で終わることが多いです。一方、免疫機能が低下している人々では、発熱、疲労感、リンパ節の腫れ、肝臓や脾臓の腫れなどの症状が現れることがあります。

合併症と予防

HSV-5（CMV）感染は、免疫機能の低下した人々に重篤な合併症を引き起こすことがあります。例えば、妊娠中の感染は胎児への影響や先天的CMV感染症を引き起こす可能性があります。また、免疫抑制状態の人々では、CMV感染が重篤な肺炎や網膜炎を引き起こすことがあります。

予防策

・手洗いの徹底： 特に感染物質との接触後や感染リスクが高まる場面で手洗いを行います。
・免疫力の維持：健康な免疫機能を維持するために、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレスの管理、十分な睡眠などが重要です。

これらのヘルペス感染症は、それぞれ異なるウイルスによって引き起こされ、特定の症状や感染経路があります。ヘルペス感染症は、各々が独自の特徴と治療法を持っています。

ヘルペスの合併症と注意点

ヘルペス感染症は、いくつかの合併症を引き起こす可能性があります。

他の感染症の合併

ヘルペス感染が皮膚の破損部分を作ると、細菌感染や真菌感染のリスクが高まります。これにより、細菌性皮膚炎や帯状疱疹（帯状疱疹ウイルスによる感染）などが発生する可能性があります。

膣炎や尿道炎

性器ヘルペスの女性感染者では、ヘルペスによる膣炎や尿道炎が発生することがあります。これにより、膣の炎症や排尿障害が生じることがあります。

新生児への感染

妊娠中に性器ヘルペスに感染すると、新生児にヘルペスが感染するリスクがあります。新生児のヘルペス感染は重篤な状態を引き起こす可能性があり、早期治療が重要です。

ヘルペスの総合的な予防策について

安全な性行為の実践

ヘルペス感染リスクを減らすために、コンドームの適切な使用やセクシュアルパートナーの定期的な検査など、安全な性行為の実践が重要です。

感染部位を避ける

再発期間中や感染部位が症状を示している場合は、感染部位を避けることが重要です。

免疫力の強化

免疫力の強化に努めることで、ヘルペスの再発を抑えることができる場合があります。バランスの取れた食事、適切な睡眠、適度な運動などが免疫力を向上させることに役立ちます。

医師の指示に従う

ヘルペス感染の管理には、医師の指示に従うことが重要です。適切な抗ウイルス薬の使用や再発予防策について医師と協力して対策を立てることが大切です。ヘルペス感染についての具体的な予防策や合併症に関する情報は、医師や保健機関に相談することをおすすめします。